昨日にひきつづきデザインの話です。
お客様にご提案をしたときに「私はこうしたら良いと思うのですが、デザインとしてどうですか?」と尋ねられることがあります。
そもそも僕が描くデザインというものは、考えぬいた上で「そうしている」のであって、それこそが現状で提案できるもっとも良い答えであることが多いです。なので、必要であればそのデザインがなぜそうなっているのか、理由を伝えることができます。文字通り、デザインとは設計そのものであると思っているクチなので、僕にとっては、それが当たり前です。
だから提案差し上げたデザインについて、お客様から「私はこうしたら良いと思うのですが」と言われた場合には、そうしたい理由を必ず聞くようにします。
「それは何故そうおもうのでしょうか?」
そう要望する背景に、これまでの情報では見えてこなかった「やりたいこと」や「狙い」があるならば、それはデザインを修正すべきでしょう。共有していた情報が更新されたのですから、当然です。
でも、その答えが「なんとなくそう思う」だったり、「自分の好みとして」だったり、「デザイン的によければそうしたい」だったら、それは正しい要望ではないと考えます。
やるべきことはデザインに合わせて考えるものではありません。それはむしろ逆で、やるべきことにデザインを最適化するべきのはずです。考え方としてそこを軸に持てない人の場合、「とにかくかっこよくしたい」とか、「動きをもっとつけたい」といった要望に終始してしまい、肝心なコンテンツがないがしろになってしまいがちです。
これは、とても危険な考え方だと思っています。
だから「私はこうした方が良いと思うんですけど、デザインとしてどうですか?」という答えは、「そうすることの意味が説明できて、それがこのサイトに求められることならば、そうすべきである」ということです。
もしくは、「そのデザインである意味が分からないのであれば、そのように質問してください」です。
良いウェブデザインというものは、「なんとなく」できているものではありません。必ずそのデザインに収まった理由が、そこにあるはずです。だから「なぜこのデザインですか?」と聞かれたときの答えを、ウェブデザイナーは必ず持っています。
デザインの理由を絶えず追いかけるのがウェブデザイナーの仕事だと、僕は思っています。