コロナ禍ということで、昨年あたりから、セミナーにおける情報の価値というものを考えさせれることが多くなりました。
リアル開催されていたウェブセミナーやイベントは、ことごとく中止になり、そうした場での情報発信や学習共有の多くの機会が奪われました。対策として「オンラインのセミナー(ウェビナー)に切り替えて、同じように発信をしていこう」と考えた人は少なくなかったように感じてはいますが、果たしてそのうちどれほどが成功と呼べるほどの成果を得ることができたのかは、個人的には疑問に感じています。
もしもオンライン開催前のセミナーが、リアルに会うことそのものに価値をつけていたとすれば、当然ながらそれはオンラインでは代替にはならないのだろうし、そもそも価値の薄さを見透かされないようにクローズドで開催していたのであれば、オンラインでは通用しないのでしょう。なのに、そこにリアル開催と同じように課金しようとするならば、無理が生じてしまいます。
僕自身も、当初オンラインは一見、簡単・便利・手軽なイメージを持っていましたが、いざやってみると全く真逆でした。配信のための事前準備には手間がかかるし、参加者の顔も見えにくく進行も難しい。なにより物理的に限られたディスプレイ空間での表現においては、それが最大限のパフォーマンスを出せたとしても、リアル開催で得られる満足度とはあまりに違っていることに、初めのうちは愕然としたほどでした。
「オンラインセミナーは想像以上に難しい。」きっと多くのセミナー主催者や登壇者が、僕と同じように感じたのではないでしょうか。
しかしながら、今日現在においても感染の危機は収まっていない以上は、オンライン開催を視野から外すわけにはいけません。
というかむしろ、ますますそれこそが本流でしょう。
時代とともに、情報量は確実に増えています。それにともない、そこから有用な情報を選別し、取得するスピードもどんどん上がってきています。事前に高額な会場をおさえ、主催者、講師、参加者の全員に移動時間を強いて呼び寄せているのは、「時間泥棒」と言われてしまうような時代がもう来てしまっているのだとすら思うこともあります。
もっとも、懸命に感染対策をしながらなんとかリアル開催に持ち込むセミナーをまだまだ目にはしますし、主催者・参加者双方にそうすること(そうしなければならないこと)の複雑な事情もあってのこととは思いますので、それらすべてを僕は否定もしません。
ただ、リアル開催にせよオンライン開催にせよ、主催者・参加者どちらか一方だけの都合しか満たさない内容のセミナーは、満たされない側を確実に疲弊させていくのだろうと思っています。当然、そこに課金など成立しないし、それどころか存続すら難しい状況になるのでしょう。
いやはや、時代はつくづく難しいフェーズを迎えたなぁと思いつつ、ついに本物しか残らない時代が来たようにも感じていて、そういった意味では、ここから開催されるセミナーがどのように形を変えつつ進化していくのか楽しみでもあります。